2013/12/15

[Paper]希薄Cs濃度測定用濃縮カラム/Columns for r-Cs condensation

Monitoring low-radioactivity caesium in Fukushima waters
福島での環境水中の低濃度Csモニタリング

Akiko Kitajima, Hiroshi Ogawa, Takeshi Kobayashi, Tatsuya Kawasaki, Yoshiaki Kawatsu, Tohru Kawamotoa and Hisashi Tanaka,

Environmental Science: Processes & Impacts, 2014, Advanced ariticles
DOI: 10.1039/C3EM00416C
Received 05 Aug 2013, Accepted 06 Nov 2013, Published online 11 Nov 2013 

U8容器を利用したCs回収濃縮用カラム


現在、福島県の放射性セシウム濃度はほぼ1Bq/L以下で、飲料水基準も十分に下回っており、問題はない状況です。一方で、農水省プレス発表の件でもご紹介したように、放射性セシウムへの不安という意観点からは、それが完全に払しょくされたわけではなく、除染が必要ではないか、と不安な方もおられます。私たちは、これら の不安を解消するには、どの程度放射性セシウムが含まれるか、を評価できることが必要と考えています。

0.1Bq/Lといった、非常に低濃度のCs濃度の測定はそのままでは困難です。今回開発したカラムは、低濃度Cs水を通水し、その中に含まれるCsを回収濃縮することで評価を可能とすることを目的としたものです。

今回は特に、U8容器という、通常の放射性物質測定に使用される容器を使ってカラムを作ることで、そのままゲルマニウム半導体検出器などで濃度測定ができ、簡便な評価ができることを目指しました。

 カラムの吸着能、という観点からは、論文をご覧いただくこととして、ここでは一つだけ、科学的に重要と思われる事項を紹介します。

  安定セシウムと放射性セシウムの吸着特性の比較です。このカラムでは、プルシアンブルーナノ粒子を担持させた不織布をセシウム吸着剤として利用しています。その吸着率を安定セシウム、放射性セシウムで比較したところ、図の通り、ほぼ同様、ということがわかりました。これは、プルシアンブルーのセシウム吸着能は、安定セシウム、放射性セシウム共に同様、ということを指しています。現時点では、我々の他の実験でも、安定セシウムと放射性セシウムの吸着特性に違いがあるデータはありません。
 これは、プルシアンブルーナノ粒子によるセシウム吸着特性は、安定セシウムを利用したいわゆるコールド試験で、十分にその評価ができる、ということを示しています。

カラム通水時の安定セシウム(133Cs)吸着率と、放射性セシウム(134Cs,137Cs)吸着率の関係