2011/08/31

[Press] 土壌中のセシウムを低濃度の酸で抽出することに成功

-プルシアンブルーナノ粒子吸着材で回収し放射性廃棄物の大幅な減量化へ-
  • 土壌から酸水溶液でセシウムイオンを抽出し、抽出したセシウムイオンを吸着材で回収
  • 抽出したセシウムイオンはプルシアンブルーナノ粒子吸着材でほぼ全量を回収可能
  • 放射性セシウムに汚染された廃棄土壌などの大幅な減量化に期待
http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2011/pr20110831/pr20110831.html


 独立行政法人 産業技術総合研究所【理事長 野間口 有】(以下「産総研」という)ナノシステム研究部門【研究部門長 八瀬 清志】グリーンテクノロジー研究グループ 川本 徹 研究グループ長、田中 寿 主任研究員、Durga Parajuli 産総研特別研究員らは、土壌中のセシウムを低濃度の酸水溶液中に抽出する技術を開発した。抽出したセシウムをプルシアンブルーナノ粒子吸着材で回収することで、放射性廃棄物の総量を減らすことが期待される。

 平成23年3月11日の東北地方太平洋沖地震に伴い発生した東京電力福島第一原子力発電所の事故により、さまざまな場所で放射性セシウムが検出されており、大量の汚染土壌の処理が課題の一つとなっている。高濃度の酸を用いて土壌から放射性セシウムを抽出できることは既に知られているが、取り扱いが難しいことや、抽出した放射性セシウムを吸着材で回収する際の効率が悪い、酸の再利用が困難でコストが高い、など多くの問題があった。

 今回、土壌の重量に対して用いる酸水溶液の重量比(固液比)を上げ、200 ℃の高温で処理することで、大半のセシウムイオンを低濃度の酸水溶液中に抽出することができた。さらに、抽出したセシウムイオンを土壌の1/150の重量のプルシアンブルーナノ粒子吸着材で回収することに成功した。また、土壌からの抽出と、吸着材による回収を組み合わせることで、より効率的に抽出できることも見いだした。今後、協力企業を募り、実証試験を進めていく予定である。