-調光ガラスや電子ペーパーの大面積化へ-
- 印刷技術で微細金属配線を施した透明導電性基板を使用し、エレクトロクロミック素子を作製
- 50 %を超える高い反射率を実現しつつ、微細金属配線の効果で応答速度も確保
- レアメタルであるインジウムの使用量も半減
独立行政法人 産業技術総合研究所【理事長 野間口 有】(以下「産総研」という)ナノシステム研究部門【研究部門長 八瀬 清志】グリーンテクノロジー研究グループ 川本 徹 研究グループ長、田中 寿 主任研究員は、印刷により微細金属配線を施した透明電極を使用し、プルシアンブルー型錯体のナノ粒子インクを用いたエレクトロクロミック素子を開発した。この素子は、応答速度を低下させることなく、高い透過率・反射率を実現し、さらにレアメタルであるインジウムの使用量も削減したエレクトロクロミック素子である。
微細金属配線は、産総研の独自技術であるスーパーインクジェット法により、金ナノ粒子インクを印刷することで形成した。今回開発したエレクトロクロミック素子は、1.5ボルト以下の電圧で白色-黄色の色変化を示し、白色時の反射率は可視光領域の大半で55 %を超えた。また、微細金属配線を施さない場合に比べ、約8倍の応答速度を実現し、1000回の動作後も大きな速度低下は見られなかった。今後、エレクトロクロミック素子を用いた調光ガラスや電子ペーパーなどの大面積化に効果を発揮すると期待される。
この研究成果は、平成23年2月16日~2月18日に東京ビッグサイトで開催される第10回国際ナノテクノロジー総合展・技術会議(nano tech 2011)の産総研ブースにて、「ナノテクノロジーで挑戦する大面積化プロジェクト」の一環として発表される。